師走といわず寒くなると鍋物が食べたくなります。アンコウやカニをつかえば旨いのは分かっていますが、懐の都合もありめったに出番はありません。
我が家の主流は白菜を使った豚しゃぶです。これを大根おろしとポン酢で食しますが、使う大根は畑で栽培した時無し大根です。この大根は在来種の固定種なので、F1種のように手間も肥料もかかりません。畑の地力だけでじっくり育つせいか辛みが強いのが特徴で大根おろしに最適です。
以前は、バラ肉入りの白菜鍋が多かったのですが、これを教えてくれた友人の奥様がお見えになり、これが本物という鍋を作ってくれました。鍋に日本酒を入れ、ニンニクのすりおろしを投入します。この量が半端でありません。4人分の鍋に2個です。2片ではありません。そこに白菜とバラ肉をドバドバ入れます。ただそれだけの鍋ですが、これがすいすいと幾らでも食べられます。大量のニンニクが脂肪分をどうにかするのか、実にあっさりした味です。
翌朝、連れ合いがちょっと見てというので昨夜の鍋を見て驚きました。一面に豚脂が固まっています。こんなものを食ったのかと仰天し、以降この鍋の登場はありません。
ひと頃は、タジン鍋に凝りました。鍋にお酒を少し入れて、そこにあり合わせの野菜をぎゅう詰めにして蓋を閉じ、あとは弱火で煮込むだけです。好みで薄切りの肉などを入れますが、大量の野菜が採れるので好評でした。
ある時、この鍋の蓋を壊してしまい代わりを探したのですが、鍋にも、はやりすたりはあるらしく、どこの店からも入手できません。この蓋は特殊な形状をしているので代替ができず、それを機にタジン鍋も姿を消しました。
それで、今は単純な白菜鍋にしていますが、幸い近くに高座豚の産地があるので、これを使った豚しゃぶが幅を利かせているわけです。
鍋以外でよく登場するのは、おろぬき大根の浅漬けです。時無し大根は5cm間隔に種まきするので年末まで数回の間引き(おろぬき)を行います。これを葉ごと細かく刻んで一晩塩漬けし軽く発酵させます。これに炒りごまをかけ、醤油(生協のだし醤油がベスト)を落とせば完成です。熱々ご飯に載せてかっ込めば、生産者冥利に尽きる思いがする味覚です。これが楽しみで大根栽培をしているようなものです。
みそ汁と干物でもあれば他に何もいりません。まことにコスパに優れているので年金生活者にとって嬉しいかぎりです。こんな食事をしていると長生きしすぎるのではないかと心配になるほどです。
焼き芋も旬の味覚です。今年は紅ハルカの苗を100本植えたので素材には事欠きません。
ただ、焼き芋用には大型なものが欲しいので、選別し保管にも留意してひと月ほど熟成させます。こうすると糖度がかなり上がるのです。
11月末に焼き芋作りを始めましたが出来上がりは上々です。皮の周りに蜜状の層が出来ていて、なんだこりゃというほどの美味です。これを食べたらケーキ屋さんは真っ青になること必定です。
作り方は、まず焚き火から始まります。プラムや庭木の剪定枝が沢山畑にあるので、ガンガン燃やします。焚き火自体が楽しいのに、このあと焼き芋が出来るのですから言うことなしです。焼き芋のプロセスには長年の経験が込められているので、いわば企業秘密です。ここで公開するのは控えておきましょう。えっへっへ。
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