自然農を始めて20年以上になります。
畑が少し遠いこともあって、トマト、ナス、キュウリなどの手間のかかる夏野菜は栽培していません。
今年は毎年定番のモロヘイヤとツルムラサキの種まきに失敗したので、今の時期に畑にある作物は生姜、さつま芋、カボチャ、ネギくらいのものです。それでは暑い盛りに畑に行こともないと思われるでしょうが、これがそういう訳にもいかないのです。
畑の周囲や通路、フキ畑、果樹園などの草刈りが欠かせません。畑全体では600坪、このうち私の担当分は約200坪ほどあります。丁寧にやればほぼ一日分の仕事になります。
草刈りはエンジン付きの草刈り機を使いますが、この作業は嫌いではありません。むしろ好きといってもいいでしょう。作業中は気を抜くと危険なのでかなり集中して行います。ほぼ無心の境地です。刈り終わった跡がきれいに五分刈り頭みたいになったのを見るとそれなりに達成感があります。やったことはありませんが、座禅を組んだ後はこんな心境かなとも思います。
刈った草は草堆肥にすることもできますが、ちゃんとした堆肥にするには結構手がかかります。大抵は刈りっぱなしにして、地面の暑さ対策と保水に役立てます。草が伸びているとかなりの量になるので、この時は乾燥させたあと焼いて灰にします。この灰はよいカリ肥料として役に立ちます。
休憩や昼めしは、今年から特別席を用意しました。プラムの下枝を整理してここを休憩所にしたのです。木陰の涼しさは格別で、ついウトウトしてしまう快適さです。
ところで皆さんの農作業スタイルはどうしていますか。私の場合は、上から麦わら帽子、首タオル、木綿の長袖シャツに長ズボンで、足元は夏でも焚き火をするので革製の安全靴です。欠かせないのは首タオルです。これに使うタオルは、旅館でもらうものが最適です。連れ合いのなどは、名入りタオルは恥ずかしいといって雑巾にしたがりますが、トンでもないことです。あの薄さがちょうどよいのです。欲をいえばもう少し長いと使い勝手がよいのですがコスト低減のためか短くなる傾向で残念です。
テニスの錦織など、シャツで汗を拭っていますが、首タオルでプレイしたら4回戦に進めたかもしれません。それとも公式戦で首タオルはルール違反でしょうか。
長袖シャツも不可欠です。手のひらに蚊よけスプレーを吹きつけて、その手で顔や手首を拭えば蚊対策はほぼ完ぺきです。八月になると畑にミョウガが出てきますが、茎をかき分けて探すときに一斉に出てくる蚊にもへっちゃらです。
上掲の絵は、そうやって得たミョウガです。帰宅後、麺つゆにたっぷりと入れて冷や麦などすすると、次はいつ畑に行こうかと労働意欲を掻き立ててくれます。
今年の自然農のトピックスはカボチャの空中栽培です。省力化を狙ってずい分早くから支柱やら竹製の棚などを用意し、満を持して時期を待ちました。ところが肝心の種まきがうまくいかず発芽しません。こんな事は初めてです。二度目の種まきから苗が伸びてきたのは7月中旬になってしまいました。現在は棚に上がったのは一本だけ、ほかは地面の上にごちゃごちゃしていて花が咲いています。これでは省力化どころか却って手間がかかりそうです。
自然農に限らず、物事は時宜に叶った対応をしないと無駄骨を折るハメになりますが、今回はその典型的なパターンになりそうです。
自然農といっても放任栽培ではないので、それなりに手がかかります。老齢化の体力低下で省力化も工夫する必要があります。どうしたら自然農の主旨(無耕起、無農薬、草との共生)を生かせるのか、これからが正念場です。
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