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     (鳴子温泉 東多賀の湯)

3泊4日の短期間ながら湯治に行ってきました。
鳴子温泉は、川渡(かわたび)、東鳴子、鳴子、中山平、鬼首の鳴子五湯からなる鳴子郷を指し、陸羽東線の駅名では、川渡、御殿湯、鳴子、中山平の四駅にわたります。

日本の温泉は、11種の泉質に分かれますが、鳴子にはこのうち9種類の泉質の温泉が湧出しています。これは魅力です。全泉質の制覇を目指しましたが、残念ながら7種類しか入れませんでした。

泉質表示はかなりややこしく、私の泊まった東多賀の湯は、含硫黄ーナトリウム、カルシュウム、硫酸塩・炭酸水素泉といい、旧表記では含土類・重曹ー芒硝硫化水素泉といった具合です。白濁したいい湯でした。

すぐ隣の西多賀の湯は、含硫黄ーナトリウム、炭酸水素塩、硫酸塩泉といい、こちらはきれいな緑色をした湯でやや高温です。

中山平の三之亟湯は純重曹泉、少し離れたしんとろの湯は、含重曹、食塩ー硫黄泉はPH9.3のアルカリ泉で、このタイプは美肌の湯として知られています。

御殿湯(東鳴子)の阿部旅館は重曹硫化水素泉と単純泉の二種類をもっていて、勿論両方に入りました。湯に入るときに、男、女、貸切の何れかの札を掛けてから入ります。一見便利そうですが、二つ目の湯に入ろうとした私の直前に貸切の札を掛けて入った人がいます。中にいるのは爺さん一人と分かっているのに入れません。いい加減に出て来いと悪態をつきながら廊下の腰掛で待っていました。

温泉神社の脇にある共同湯は、古湯、滝乃湯の石碑が示す如く千年以上の歴史を誇ります。中は二つの湯に仕切られていて、源泉が異なっています。手前の大きい方は44度C、奥の湯は40度Cでいずれも滝乃湯という通り、高いところから湯が流れ落ちてきます。
ぬる湯好きの私は、奥の湯に入り背中を滝に打たせながら極楽、極楽と呟いていました。

ところで、いい温泉の条件というのをご存じですか。温泉教授、松田忠徳さんは下記3条件を上げています。
   1)湯の新鮮さ。出来れば湧いているところに湯船を作る。
   2)長湯が出来る温度
   3)寝そべって入れる浴槽
この観点から鳴子温泉を評価すると2)3)にいささか難点があります。

鳴子に限らず、近頃は源泉かけ流しを強調しすぎて湯温がいい加減です。志ん生の落語に出てくる頑固おやじが顔を真っ赤にして湯船でうなっている、そんな状態の湯が多すぎます。那須湯本の鹿の湯や野沢温泉の大湯のように、熱い湯を名物にしているところもありますが、湯船が一つしかないところで熱い湯も困ったものです。冬場などカゼをひきかねません。しかも加水用の栓もないのでは手抜きもいいところです。しっかりした湯守りのいる宿ではこんなことは絶対ありません。

鳴子でいえば、中山平の共同湯、しんとろの湯はしっかりしています。源泉温度が93度Cありますが、200m近い長さの木樋で快適な温度に制御しています。しかも、浴槽からその様子が見えます。鳴子で浸かった中では一番の湯でした。

鳴子は湯治宿が多いのですが、たいてい農家の片手間に経営してようで気になります。
湯が命なので、しっかり湯守りしてもらわないと評判を落としかねません。

それで、今回の湯治の成果はといえば、湯めぐりしすぎたせいで、長湯が疎かになり、少し不満が残ります。それでも帰宅後のテニスを元気にやれたし、山仕事で少し下肢に疲労感があったのですが、それも消えているのでやはり鳴子の湯治効果でしょう。

次回は、入り損ねた川渡と鬼首の湯に浸かり、全泉質の制覇を狙っています。

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