史上最速の梅雨明け宣言が出たあとにとんでもない大雨被害が出ています。関東地方も、梅雨明けといいながらこのところよく雨が降ります。宣言が早すぎたかもしれません。
何はともあれ、梅雨が明ければ海の日、山の日の夏本番がやってきます。湘南の海でも海の家の設置が急ピッチで進んでいます。最近は、こじゃれた感じの大型のものが多くなり、旧来のような錆びたトタン屋根にヨシズ掛けというノスタルジックなものは流行りません。
しかし、あれも無いとなると淋しい気がします。薄べり敷きの床に粗末な折り畳テーブルが並び、アルミ製の灰皿というのが共通仕様で、いかにも家族経営といった従業員が愛想を振りまき、真っ黄や真っ赤なカキ氷を運んでいます。
昨年の海辺では、こういった小屋はチラホラしかありませんでしたが、今年はどうなるのか。世代交代で絶滅するおそれもあります。若い頃には、あのスタイルは湘南の海に相応しくないから規制すべきだなどと息巻いていましたが、いまでは郷愁すら覚えます。
ずい分昔のことですが、出張帰りに休暇をとってハワイの海岸で遊んだことがあります。
プライベート・ビーチ化されているのか、浜が実によく整備されていてゴミ一つ落ちていません。日本のそれとあまりに違うのでカルチャーショックをうけました。
その時に、サーフボードに挑戦しました。3m以上の巨大なボードです。これを借りて沖に出ました。何しろ生まれて初めての経験ですから扱い方が全く分かりません。沖の方に一団のグループがいて、どうやら講習を受けているらしいので、そこに近づき立ち聞きしようという魂胆です。
見よう見まねでボードの上に膝をつき、折をみて立ち上がろうするのですが、これが難しい。とうとう最後まで格好よく立ち上がることは出来ませんでした。
後で分かったことですが、ちょうどこの頃に湘南の海でサーフボードが始まったそうですから、真面目に?やっていれば、サーフボードの草分けとして鼻が高かったのに残念なことをしました。
海の楽しみは、ボードやヨットだけではありません。収穫もあります。夏に入るころ、鎌倉に下宿していた友人とバケツを持って七里ヶ浜に出かけました。丁度大潮の時で、かなり沖合まで平らな岩礁が露出しています。そこで何をやるかといえば、ウニ漁です。
今は規制があるかもしれませんが、当時は自由に採れました。上掲の絵は、今春に描いた七里ヶ浜風景ですが、この荒波の下が岩棚となっていてウニが生息しているのです。
バケツ一杯のウニを下げて下宿に戻り、おばさんに菜っきり包丁を借りて殻を割り身を取り出します。もっとましなやり方があるのかも知れませんが、大きな丼に入りきれないほどの量となりました。包丁がぼろぼろとなったのでお詫びにウニをあげて勘弁してもらい、残りを二人で平らげました。
さすがに暫くは見るのも嫌なほど堪能したものです。採ったのはムラサキウニです。バフンウニのほうが旨いといいますが、いやいや結構いけます。
R147号線を通るとサーフィンをやっている群れをよく見かけますが、ヘタなことをやってないで、下にいるウニでも採ったらどうだと、自分のことを棚に上げて呟いています。
挫折サーファーの繰り言ですが、どうせやるなら地元で漁師でもやればいつでもサーフィンを楽しめます。湘南の海も近頃は種類も漁獲量も大幅に増えて、生協やスーパーに地場ものとして人気を集めています。また若い人が漁業を継いだという話題もよく聞きます。
どんな分野でもそうですが、若い人が参加して初めて将来展望が開けます。海の家はともかく、若い漁師がいる浜ならば景色も変わり集客間違いなしです。キバレ!サーファー。
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