nihonntou


高校生の時、剣道部に入っていたことがあります。筋がよくなかったのか段位はとれませんでした。そんな私も一度だけ県大会に出たことがあります。何組かが出場する大会で、多分メンバーが急病か何かで出られなくなりお鉢が回ってきたものと思う。初出場なので訳が分からずウロウロしているうちに出番が回ってきました。

相手は強そうな人でしたが小手に隙があるように見えたので思い切って打って出ました。それが見事に決まって一本先取しました。しかし、その時の掛け声がいけなかった。黙って打つか、コテッ!と発して打つのが普通ですが、何をとち狂ったかメン!と言ってしまったのです。相手は文字通り面食らったのでしょう。その後相手はまなじりを決して殺到してくる。こちらは恥ずかしさで身が縮み、あっさり逆転負けしました。
 
剣道に興味を持ったのは、家に一振りの日本刀があったからです。この刀は先祖伝来のものではなく、亡父が知り合いから譲り受けたものです。父は面倒みのいい人でした。東京の旧家から疎開していたその人が、東京に引き上げるときにお礼といってその刀をさし出したそうです。
 
子供のころ、この刀で盆飾りの竹を叩いて刃こぼれさせたことがあります。刀は引かなければ切れないなどと知らなかったのです。一通り小言を言った後で父は、何んと家の砥石でゴシゴシ研ぎ始めました。そんなことで刃こぼれが取れるわけもなく、刀身が鈍い色に変わっただけでした。
その刀は今は私の居間の刀掛けにあります。鍔や柄には金象嵌が施されていて見た目には優美な姿をしています。
 
先日刀剣登録書が必要となって改めて見たら銘は無銘となっています。
昔父から聞いた話では、来国光らしいと聞いた記憶があったのでネットで調べてみました。来一派は京粟田口の刀工集団で、来国光は鎌倉後期の人で現存する刀のうち2振りは国宝に指定されている名工です。
そうと知って改めて鞘を払って構えてみると、青山文平氏が作品中によく表現されている「刃筋が伸びる」という感じが何んとなくします。
 
まさか国宝クラスの逸品が我が家にあるとは思いませんが、時折刀に目をやると、ひょっとすると国光かも知れないとニヤリとします。
眺めている分にはどんな想像も出来ますので、あえて鑑定はしてませんが本物だったらどうしよう。せめて砥ぎ直しだけでもしておこうか。
                 >>>毎月八の日(8,18,28日)発行予定<<<
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