( ドリ 軽井沢 峰の茶屋にて )
ドリのいた日々(2) ドリ山に登る
走り回るのが好きなドリは、車も大好きでした。ただし、必ず窓を開けろと要求します。風を受けると自分が走っている気になるらしく、真冬でもそうします。
こちらは、ニット帽をかぶりマフラーを首にまいて付き合ってやりました。
夏を過ぎたころ、信州の湯の丸高原に出かけました。いつもの通りキャンプ泊です。当時は犬ずれで泊まれる宿は殆どありません。結果、ドリのお蔭でこちらもキャンプ・ライフの楽しみを教えられました。
季節外れのキャンプ場には誰もいません。勝手にテントを設営し寝ましたが、夜中に何度かドリの騒ぐ気配がしました。多分野生動物が近寄ってきたのでしょう。こういう時には番犬として立派に役立ちました。
翌日は湯の丸山に登りましたが、ちょうど小学生グループと一緒になりました。例によってリードなしのドリと歩いていると、こんなペースに付き合っていられないよとばかりに、子供たちを追いかけて走って行きます。「オオカミが行ったから気をつけろ」と怒鳴るとキャツ、キャツと騒ぐ声が聞こえてきます。しばらくすると、ドリが心配そうな顔して戻ってきます。こちらの様子をみて、まだ大丈夫と安心するのか、また子供たちの方に走って行きます。何度かそんなことを繰り返しながら山頂につくと、ドリが子供たちに頭をなでなでされながら、遅かったね顔をして迎えてくれました。
これで味をしめて西穂に登ったことがあります。ところが新穂高のロープウエイ乗り場で、犬ずれは乗車拒否とのこと。ここまで来て断られても困るので交渉をしていたら、係員が小さなケージをもってきて、ここに入れたらOKといいます。どう見てもドリが入れそうにないサイズです。しかし、ここにドリを置いていくわけにいきません。最初嫌がっていたドリも事情を察したのか、殆ど体を二つに折るように収まり、はみ出る尻尾を無理やりケージに押し込み何とか乗車にこぎつけました。
山頂駅からは、いつものパターンで登りました。今は、野生動物保護とかの理由で犬ずれ登山は禁止されているようなので、いい時に登れました。
犬全般にいえることですが、ドリも大きな音には弱いです。丹沢のキャンプ場で真昼に突然打ち上げられた花火に出くわした時は大変でした。この時、私は川向うにいたのですが
驚いたドリは、これも大嫌いな水をものともせずに川の中を横切って、私に抱きついてきたものです。当然、カミナリも大嫌いです。ゴロゴロしだすと普段は外で寝ているドリもこの時ばかりは玄関に入れろ大騒ぎしました。
一番遠くに行ったのは、萩・津和野です。萩教会の神父を訪ねたのですが、神父様も犬が好きらしく、二日間の観光案内中、ずぅーとドリのリードを握って案内してくれました。
ドリも心得顔におとなしく付き合っていたので、すっかり神父様に気に入られ、別れるときは、私たちよりもドリと別れるのがつらそうでした。
この旅の最後に惨事が起きました。夜なか中走って早暁に茅ヶ崎海岸まで来ました。何かの都合で中央分離帯を越えて車線変更したとき車が大きく揺れました。その時ドリが車から放り出されたのです。何時ものように窓は全開だったことに加え、たまたまリードをつけていたのが不幸でした。急ブレーキをかけましたが、恐らく70kmは越えていたと思います。さすがの俊足ドリもたまりません、かなり引きずられ、停車したときは足の肉球から血が噴き出ていました。
奇跡的に肉球以外の怪我がなかったので、10日ほど静かにしただけで回復したのでホットしました。それにしても早朝で周りに車がなかったのが幸いでした。今思い出してもゾッとします。といっても今更せんない事か、今は居ないのですから。
この稿続く。
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